ときめき

好きについて語ること、それは自分を語ること。

新海誠「雲のむこう、約束の場所」感想

ゲオでDVDを借りて映画鑑賞会二個目。今を時めくアニメ監督新海誠が2005年初めて取り組んだ長編アニメーション映画「雲のむこう、約束の場所(2005)」を見ました。

雲のむこう、約束の場所
 

面白いか面白くないかで言われれば、ちょっとおもしろくない。

ただ、興味深い映画ではある、と言えると思います。2005年における新海誠の立ち位置というのがわかるというのが第一点。これは新海誠研究家でない僕にとっては比較的どうでもいいポイントではあるんですが、それでも「夢」「出会うはずではなかった二人の交差」「別離」というモチーフは、まさしく「君の名は。」とまったく同じであることに驚きを隠せません。女の子のキャラ造形も男の子のキャラ造形もまだまだ甘くて、動かしづらそうだし共感しづらいですが、その点は「君の名は。」において大きくパワーアップしているように感じました。

あと、もう一つ。空を切り裂く巨大な塔というモチーフを「権力」とか「抑制」「監視」のようなイメージではなくて「理解を絶する他者性」「近くて遠く手が届きそうで届かない」「憧れ」「夢」というイメージで使ったところが面白かったです。

塔とはやがては倒れるもの。あの有名なバベルの塔のエピソードからの連想です。かのエピソードが「人間のおごり」を抽象していると思われるので当然なのですが、こいつを思春期の淡い恋と絡めてくるとはなかなかシニカルな感じですね。結果として塔は倒れてしまい、少年少女は失恋してしまいましたが、二人の関係が一から建設的に築き上げられることを期待しています。